愛知県一宮市の民家で2022年、娘3人を殺害したとして、殺人罪に問われた同市の無職遠矢姫華被告（29）の裁判員裁判の判決が11日、名古屋地裁であった。吉田智宏裁判長は「最愛の母親の手で将来を絶たれた混乱や苦痛を思うと言葉にはできないものがある」と述べ、懲役23年（求刑懲役25年）を言い渡した。
主な争点は、刑事責任能力の有無だった。判決は、被告が殺害を葛藤しつつ、娘が苦しむ時間を短くする目的で強く首を絞めたことなどを根拠に、善悪を認識して行動を制御する完全責任能力があったと指摘。心神喪失を理由とした弁護側の無罪の主張を退けた。
一方、動機には「育児の悩み」があったとも指摘。被告はまじめで責任感の強い性格だとし、理想の育児が出来ず思い詰めて自殺を考え、娘を置いて死ぬのは娘がかわいそうだとして無理心中を決意したと認定した。
こうした経緯を踏まえ、判決…
